重量鳶に資格が必要とされる理由
重量鳶は建設業や工場の現場で重量物を扱う専門職です。数トン単位の設備や機械を据え付けたり撤去したりするため、作業には常に危険が伴います。そのため法律や労働安全衛生規則で、特定の作業を行うには資格を持った人でなければならないと定められています。資格を取得することで安全性が向上するだけでなく、現場での信頼性や仕事の幅も広がります。
重量鳶の仕事は力仕事というイメージを持たれがちですが、実際には高度な知識と技術が必要です。資格を通じて基本的な安全知識や作業方法を習得していることが、プロの職人として働くための第一歩となります。
重量鳶に必要な代表的な資格
重量鳶が現場で活躍するために必須とされる資格はいくつか存在します。ここでは代表的な資格について解説します。
玉掛け技能講習
重量鳶にとって最も基本的で重要な資格が「玉掛け技能講習」です。玉掛けとは、クレーンで荷物を吊り上げるためにワイヤーやフックを掛け外しする作業を指します。荷のバランスを見極め、安全に吊り上げるための判断力が問われます。受講は18歳以上であれば可能で、学科と実技を合わせて3日程度の講習を受けることで取得できます。
小型移動式クレーン運転技能講習
現場では2.9トン未満の小型クレーンを操作する機会も多くあります。この資格を持っていれば、クレーン作業の一部を自分で行えるため仕事の幅が広がります。講習は3日間程度で、学科と実技をクリアすることで修了証が発行されます。
フォークリフト運転技能講習
重量物を敷地内で運搬する際にはフォークリフトを使用することが多くあります。フォークリフト運転技能講習は4日間程度のカリキュラムで、取得後は工場や倉庫など幅広い現場で即戦力となります。重量鳶としても、搬入搬出作業において役立つ資格です。
資格ごとに対象となる作業や操作できる範囲が異なるため、現場で必要とされる資格を計画的に取得することが重要です。
重量鳶が持っていると有利な資格
必須ではないものの、持っていると仕事に役立つ資格も数多くあります。キャリアアップを目指す人は積極的に取得しておくと良いでしょう。
足場の組立て等作業主任者
重量鳶は足場を組む作業自体は専門ではありませんが、重量物を設置する際に足場を利用することは多いです。主任者資格を持っていると現場での指示や安全確認を任されるため、信頼度が高まります。
職長・安全衛生責任者教育
チームを率いる立場になると必要となる資格です。作業員の安全を確保し、現場全体を円滑に進める役割を担うことができます。将来的にリーダーや管理職を目指す人には必須といえるでしょう。
高所作業車運転技能講習
高所での重量物取り付けに使用されるのが高所作業車です。資格があれば高所での作業を安全に行えるため、建築現場などで重宝されます。
こうした資格を複数持つことで、現場で任される作業の幅が大きく広がり、収入アップにもつながります。
資格取得の流れと費用の目安
重量鳶が必要な資格を取得するには、専門の講習を受講し修了証を得るのが基本です。講習は各地の労働局認定機関や安全衛生教育センターなどで実施されています。
資格取得の流れは以下の通りです。
1. 受講申し込み(インターネットや郵送で可能)
2. 学科講習(安全知識や作業方法を学ぶ)
3. 実技講習(器具を使った実際の作業を体験)
4. 修了試験(学科・実技の理解度を確認)
5. 修了証発行
費用は資格によって異なりますが、玉掛け技能講習で1万5千円〜2万円程度、小型移動式クレーンで2万円前後、フォークリフトで3万円前後が目安です。時間も数日で取得可能なため、比較的取り組みやすいのが特徴です。
重量鳶の資格取得で広がるキャリア
資格を取得することで、重量鳶としてのキャリアは大きく広がります。未経験者でも玉掛けやフォークリフトの資格を持っていれば採用されやすく、即戦力として評価されます。
また、経験を積みながら職長・安全衛生責任者教育などを受ければ、現場のリーダーとして活躍でき、独立開業の道も見えてきます。さらに、大型クレーンや特殊重機の操作資格を取得すれば、より大規模で高度な現場に携わることができます。
資格を一つ取得したら終わりではなく、段階的にスキルアップしていくことが重要です。資格は自分の安全を守るだけでなく、キャリア形成の大きな武器になるのです。
まとめ
重量鳶に必要な資格には、玉掛け技能講習、小型移動式クレーン、フォークリフトといった基礎的なものがあります。さらに足場の組立て等作業主任者や職長教育などを取得すれば、現場での信頼度や役割も大きく広がります。資格は数日間の講習と数万円の費用で取得可能であり、キャリアアップに直結する投資です。安全性を高めながら長く働くために、計画的な資格取得を進めていきましょう。